自動車用インストルメントパネルの3D検査
概要
自動車のインストルメントパネルを加熱・冷却の前後でスキャンし、その変化を検査するプロジェクトです。お客様はスキャンテックのハンドヘルド3DスキャナSIMSCANを検査に使用されました。
自動車部品の非破壊・非接触検査は、部品の適格性を確認するために必要不可欠です。
自動車産業では、固形で軽量のプラスチック材料がますます多く使用されるようになってきています。これらの材料の幅広い使用は、縁石の重量を減らし、燃費を改善し、性能を向上させることを目的としています。
自動車業界では、設計・開発プロセス全体を通じて自動車部品の品質を確保するために、検査・試験ソリューションが顧客に信頼されています。検査は、原材料の検査、製造工程での検査、完成品の分析など多岐にわたります。
自動車部品は、GD&T(幾何学的寸法と公差)の厳しい要求を満たしているかどうかを検査される。また、強度や応力・温度に対する反応性など、材料の特性も検査される。
自動車部品の故障は悲惨な結果を招く可能性があるため、自動車部品の精密かつ非破壊な検査は自動車製造に不可欠です。
スキャンテックは、製造された部品が仕様の範囲内であることを確認するために検査するための高度なポータブル3Dスキャナーを提供しています。これらの洗練された3Dソリューションは、品質分析、欠陥の検出などにも使用できます。
事例の背景
世界有数の検査、検証、試験、認証会社であるSGSは、3Dスキャンによる自動車インストルメントパネルの詳細なテストを実施するためにスキャンテックに依頼しました。
プロジェクトの目標
このプロジェクトは、インストルメントパネルを加熱・冷却の前と後でスキャンし、その変化を確認することです。スキャンした3Dデータを元のCADデータと比較し、ズレや寸法を洞察します。
黒いインパネを3Dスキャンすることの難しさ
インストルメントパネルは、各種計器や照明が配置されている部分であり、溝や穴があり、複雑な形状をしているのが特徴です。インストルメントパネルをバーニアやメジャーテープなどの従来の測定方法で測定することは困難です。
光学式3Dスキャンは、自動車部品を検査するための重要なツールとして登場しました。3Dスキャンは、完成品とCADモデルのギャップを埋めることができるため、検査において非常に貴重な存在となっています。
しかし、黒い表面は光を吸収するため、レーザー信号の反応を乱し、ノイズの多い点群になってしまうため、3Dスキャナーで検査することは困難です。一般的には、技術者が部品に粉を吹き付けて3Dスキャンする必要があり、部品にダメージを与える可能性があります。
スキャンテックの3Dソリューション
プラスチックと金属でできたインストルメントパネルは、約1400mm、150kgの重さです。エンジニアはコンパクトな3DレーザースキャナーSIMSCANを使用して計測を行いました。
まず、ターゲットをスキャンし、最適化してからパーツのスキャンを開始した。インストルメントパネルのスキャンにかかった時間は約10分、データの後処理にかかった時間は約2分でした。
検査用3DスキャナーSIMSCANのメリット
手の届きにくい場所の測定にブースターとして活躍
ハンディタイプの3Dスキャナー「SIMSCAN」は、カメラとの距離が約130mmと短く、視野角が小さいのが特徴です。
そのため、一般的な3Dスキャナーと比較して、スキャン視野の遮蔽が少なく、穴や溝などの狭い場所の3Dスキャンに適しています。次の図は、狭い場所でのデータ取得の様子を示しています。
黒色表面への高い適応性
SIMSCAN 3Dレーザースキャナーには、超高速スキャン(青色レーザークロス17本)、ハイパーファインスキャン(青色平行レーザー7本)、ディープホールスキャン(青色レーザー1本追加)の3つのスキャンモードがあり、異なるニーズに対応しています。
青色レーザーは波長が短いため、広く使われている赤色レーザーよりも干渉しにくいという特徴があります。青色レーザーと高度なアルゴリズムにより、対象物の細部まで正確にとらえ、粉体を吹き付けることなく、素早く3Dモデルを構築することができます。
効率的な測定
SIMSCANは、そのコンパクトなサイズ、シンプルさ、そして堅牢な性能により、3D測定と検査に最適な選択肢となりました。
最大280万MPSの測定速度で効率的に部品をスキャンし、スムーズな3Dデジタイジングを可能にします。また、測定精度は最大0.020mmまで可能です。
強力なデータ処理
SIMSCAN 3Dスキャナーには、3Dソフトウェア「ScanViewer」が付属しています。ベストフィット、データムベース、フィーチャーベースなど、さまざまなデータアライメントに対応します。
また、検査結果を直感的なカラーマップで表示するため、サーフェスやポイントのずれを容易に特定することができます。